ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2019-01-01から1年間の記事一覧

Tommy Orange の “There There”(2)

このところ〈自宅残業〉の毎日だが、きょうは意外に早くノルマを達成。余裕ができたのでドラ息子の誘いに乗り、初孫のショウマくんともども、横浜・大岡川ぞいの桜並木を見物しに出かけた。あいにくパッとしない空模様だったけれど、これなどは比較的よく撮…

Umberto Eco の “Baudolino”(3)

もっか〈自宅残業〉で忙しく、Rebecca Makkai の "The Great Believers"(2018)のほうはやっと終盤が見えてきたところ。相変わらず☆☆☆で面白くない。ただでさえ遅読症なのに、ますます読む速度が落ちてきた。 同書は1985,86年の過去編と2015年の現代編が交…

Umberto Eco の “Baudolino”(2)

Rebecca Makkai の "The Great Believers"(2018)をダラダラ読んでいる。ご存じのとおり、ニューヨーク・タイムズ紙が去年選んだベスト5小説のひとつだが、いまのところ、☆☆☆。ゲイとエイズ、そして家族愛を扱ったもので、暗いし、なかなか話が先へ進まな…

Lisa Halliday の “Asymmetry”(2)と Sigrid Nunez の “The Friend”(2)

おとといの昼間、ジムで走りすぎたあと、同夜は元同僚と再会、ほぼ一年ぶりに飲みすぎてしまった。おかげで、きのうは膝が痛いうえに二日酔い。炬燵の中でぼんやり過ごしていたら、夕方になって大事件発生! 詳しくは書けないが、とにかく諸般の事情というや…

Luis Alberto Urrea の “The House of Broken Angels”(1)

ゆうべ、今年の全米批評家協会賞(対象は昨年の作品)の最終候補作、Luis Alberto Urrea の "The House of Broken Angels" を読了。これで久しぶりに同賞の最終候補作をぜんぶ読んだことになる。さっそくレビューを書いておこう。 なお、以下のレビューは、…

Patrick Chamoiseau の “Slave Old Man”(2)

ああ、やっぱり Anna Burns の "Milkman" (2018)がブッカー賞に引き続き、全米批評家協会賞も獲ってしまいましたね。前回も書いたとおり、まず順当な結果だろう。 ちなみに過去、同賞とブッカー賞のダブル受賞に輝いた作品は2冊ある。 ぼくの独断と偏見に…

Denis Johnson の “The Largesse of the Sea Maiden”(2)と2018年全米批評家協会賞最終候補作

全米批評家協会賞の発表(ニューヨーク時間で3月14日午後6時30分)が目前に迫ってきた。日本時間の明日にでも結果が判明していることだろう。 今年は久しぶりに発表前に最終候補作をぜんぶ読むつもりだったのだけれど、Luis Alberto Urrea のペイパーバッ…

Orhan Pamuk の “The Museum of Innocence”(1)

Orhan Pamuk の "The Museum of Innocence"(原作2008、英訳2009)を読了。周知のとおり、これは彼のノーベル文学賞受賞第一作である。さっそくレビューを書いておこう。 The Museum of Innocence 作者: Orhan Pamuk,Maureen Freely 出版社/メーカー: Faber …

Leila Slimani の “The Perfect Nanny”(2)と2018年ニューヨーク・タイムズ紙選ベスト5小説

とても面白い本を読んでいるとき、過去記事の続きを書くのは面倒くさいものだ。もっか取り組んでいるのは、Orhan Pamuk の "The Museum of Innocence"(原作2008、英訳2009)。すこぶるつきのメロドラマだが、近代文化と古い伝統との衝突など、いろいろ考え…

Tommy Orange の “There There”(1)

Tommy Orange の "There There"(2018)を読了。周知のとおり、これは昨年のニューヨーク・タイムズ紙選ベスト5小説のひとつである。また P Prize.com の予想によれば、3月5日現在、今年のピューリッツァー賞レースでも、Rachel Kushner の "Mars Room"(…

Umberto Eco の “Baudolino”(1)

Umberto Eco の第四作 "Baudolino"(原作2000、英訳2001)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Baudolino (English Edition) 作者: Umberto Eco 出版社/メーカー: Vintage Digital 発売日: 2014/08/28 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る …

Evelyn Waugh の “Sword of Honour”(3)

前回はこんな話だった。ぼくが最近読んだ海外文学の新作は五冊。どれもそれなりに面白いけれど、表題の『名誉の剣』三部作とくらべると、どれもかなり物足りない。(スターを付けてくださった shinread さん、brownsuga さん、ありがとうございます)。 なぜ…

Evelyn Waugh の “Sword of Honour”(2)

やっと(2)にこぎ着けた。ほんとうはもっと早く落ち穂拾いをするつもりだったのだけど、このところ、本書をダラダラ読んでいるうちに届いた新刊を片づけるのに追われてしまった。(本書のレビューにスターを付けてくださった kt-888さん、brownsugaさん、…

Sigrid Nunez の “The Friend”(1)

昨年の全米図書賞受賞作、Sigrid Nunez の "The Friend"(2018)を読了。さっそくレビューを書いておこう。(ペイパーバック版の表紙はきょう現在、アップ不可能。可能になり次第アップします)。 The Friend: A Novel 作者: Sigrid Nunez 出版社/メーカー: …

Patrick Chamoiseau の “Slave Old Man”(1)

きのう、今年の全米批評家協会賞(対象は昨年の作品)の最終候補作、Patrick Chamoiseau の "Slave Old Man" を読了。Patrick Chamoiseau は1992年に "Texaco" という作品でゴンクール賞を受賞したこともある作家で、カリブ海のマルティニーク島出身。本書は…

Denis Johnson の “The Largesse of the Sea Maiden”(1)

きのう、Denis Johnson の短編集 "The Largesse of the Sea Maiden"(2018)を読了。周知のとおり、これは今年の全米批評家協会賞(対象は2018年の作品)の最終候補作である。Denis Johnson は2017年に他界。この短編集は彼の遺作とのこと。謹んでご冥福をお…

Lisa Halliday の “Asymmetry”(1)

Lisa Halliday の "Asymmetry"(2018)を読了。周知のとおり、これは昨年のニューヨーク・タイムズ紙選ベスト5小説のひとつである。巻末の紹介によると、Lisa Halliday はマサチューセッツ州出身でミラノ在住の若手作家。本書は彼女の処女作とのこと。さっ…

Leila Slimani の “The Perfect Nanny”(1)

ゆうべ、Leila Slimani の "The Perfect Nanny" を読了。2016年のゴンクール賞受賞作、"Chanson douce" の英訳版である。巻頭の紹介によると、彼女はモロッコ出身の若手作家で、モロッコ人の女流作家が同賞を受賞したのは初めてのことらしい。この英訳版は昨…

Evelyn Waugh の “Sword of Honour”(1)

きのう、Evelyn Waugh の "Sword of Honour"(1965)をやっと読了。周知のとおり、これは "Men at Arms"(1952)、"Officers and Gentlemen"(1955)、"Unconditional Surrender"(1961)を一冊にまとめた『名誉の剣』三部作である。 合冊版を上梓する際、Wa…

"Sword of Honour" 雑感(4)

なんとか体調が回復してきたようだ。気になるのは血圧だが、数値さえよければ、あしたからまたジムに通おうと思っている。(brownsuga さん、お気遣いのコメント、ありがとうございます)。 "Sword of Honour" のほうも、元の第三巻 "Unconditional Surrende…

"Sword of Honour" 雑感(3)

風邪が治ったのか治らないのか、どうも体調がすっきりせず、しばらく読書から遠ざかっていた。いまも喉がいがらっぽい。が、それでもきょうはリハビリがてら、久しぶりに本書に取り組み、なんとか第二部 "Officers and Gentlemen" を読みおえた。第一部の場…

Susan Minot の “Evening”

先週末までずっと寝込んでいた。インフルエンザではなかったが高熱が続き、これを書いている今もまだ微熱がある。亡父もやはりこの時期に風邪をこじらせ、二月になって最初の脳梗塞を起こしたことが思い出され、少し不安だ。 寝床で本を読むのは疲れるものだ…

"Sword of Honour" 雑感(2)

今週は風邪をひいてしまい絶不調。さいわい検査の結果、インフルエンザではないとのことだったが、高熱が出たらすぐに休日診療所に行くように言われた。一方、息子も初孫もインフルエンザにかかったものの、タミフルのおかげでとうに回復。ふつうの風邪のぼ…

"Sword of Honour" 雑感(1)

Evelyn Waugh の "Sword of Honour"(1965)をまたボチボチ読みはじめた。諸般の事情でいったん中断していたが、そろそろ片づけないことには、いつまでたってもほかの本が読めない。 改めて言うと、これは周知のとおり、"Men at Arms"(1952)、"Officers an…

なにから読むか、フォークナー

昨年末に読みはじめた Evelyn Waugh の "Sword of Honour"(1965)は、切りのいいところへ進むまでにあえなく大休止。たまたま先月、長年の宿題のひとつ、スノープス三部作をやっと片づけたばかりなので、年始めの記事は「なにから読むか、フォークナー」。 …