ブッカー賞
きのう、1991年のブッカー賞最終候補作、Rohinton Mistry の "Such a Long Journey" を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Such a Long Journey: Faber Modern Classics 作者:Mistry, Rohinton 発売日: 2016/02/04 メディア: ペーパーバック [☆☆☆★★] 人…
これはほんとうに面白かった! 読んでいる最中はいつまでも物語がつづいてほしいと思い、読後数日たったいまでもまだ心のなかに余韻がのこっている。まるで麻薬でも盛られたような気分だ。こんな経験は最近ちょっと記憶にない。 とはいえ、落ち着いて振り返…
2001年のブッカー賞最終候補作、David Mitchell の "Number9Dream" を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Number9Dream: A Novel 作者:Mitchell, David 発売日: 2003/02/11 メディア: ペーパーバック [☆☆☆☆] 屋久島育ちの青年が、いちども会ったことが…
連日の猛暑だが、今夏もわが家にはクーラーがない。あるのは、うちわと扇風機だけ。家じゅうの窓を開けはなち、頭に濡れタオルという湯上がりスタイルで過ごし、暑さを感じるたびにその濡れタオルで身体をよく拭き、こまめに水分を補給。これでなんとかしの…
きょうは終戦記念日。(時差を無視すれば)ちょうど1年前のきょうの夕方、ぼくはマルセイユの海岸通りに面したレストランで、のんびりブイヤベースに舌つづみを打っていた。 あれから1年。世界の状況は現象的には一変した。が、本質的に変化したわけではな…
1991年のブッカー賞受賞作、Ben Okri の "The Famished Road"(Anchor Books 版)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 The Famished Road (The Famished Road Trilogy) 作者:Okri, Ben 発売日: 1992/07/27 メディア: ペーパーバック [☆☆☆☆] 私見だがマ…
そろそろ、まじめに落ち穂拾いをしておこう。Mantel を読むのはこれで3冊目。しかも前作から8年もたっているとはいえ、3部作の最終巻とあって馴じみやすく、すぐに作品世界に入っていくことができた。 と同時に、前2巻の場合とはちがった観点から考える…
ゆうべ、Hilary Mantel の最新作 "The Mirror & the Light"(2020)を読了。ご存じ Wolf Hall Trilogy の最終巻で、第1巻 "Wolf Hall"(2009 ☆☆☆☆★)、第2巻 "Bring up the Bodies"(2012 ☆☆☆★★)に引きつづき、Mantel 3度目のブッカー賞受賞なるか、と現…
テンプで戻った勤務先が今年最後の繁忙期。この1週間は、ほんとに忙しかった。おかげで活字を目にしてもすぐに眠くなり、寝床で読んでいる『ツバキ文具店』など、ひと晩2、3ページ(でも面白い)。通勤時に持ち運んでいて腕が疲れる超大作 "Underworld" …
2002年のブッカー賞最終候補作、Rohinton Mistry の "Family Matters"(2002)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Family Matters 作者: Rohinton Mistry 出版社/メーカー: Emblem Editions 発売日: 2003/02/25 メディア: ペーパーバック この商品を…
2週間ほど前にわが家から忽然と消えたヘアートリートメントと電気ひげ剃りだが、相変わらず出てこない。7日の記事に書いた消失の状況をドラ娘に電話で説明したところ、どうやらホラ話ではなさそうだけど、でもね、と半信半疑のようす。日常空間のブラック…
わが家で奇怪な事件が起こった。ぼくのヘアートリートメントと電気ひげ剃りが忽然と消えてしまったのだ。ひげ剃りにいたっては前夜に使ったばかり。それに気づく前、髪を洗ってからヘアートリートメントを使おうと思ったら、三日ほど前に戻しておいた位置に…
今週は絶不調。熱はまあ下がったものの、投薬を続けているせいか倦怠感があり、血圧もやや高い。大ごとでなければいいのだけど、亡父が最初の脳梗塞で倒れた年齢に近づきつつあるのが気になる。 いまボチボチ読んでいるのは、スイスの作家 Pascal Mercier の…
このところの冷え込みで風邪をひいてしまい、きょうは寝床のなかで Orhan Pamuk の "A Strangeness in My Mind"(原作2014、英訳2015)を読んでいた。2016年のブッカー国際賞最終候補作である。 途中評価としては、☆☆☆★★に★をひとつオマケしようかどうか、と…
本日、今年のブッカー賞が発表され、Bernardine Evaristo の "Girl, Woman, Other" と、Margaret Atwood の "The Testaments" の2作が栄冠に輝いた。Atwood は2000年の "The Blind Assassin"(☆☆☆☆)以来2度目の受賞。2作品が同時に受賞したのは1992年以…
今年のブッカー賞最終候補作、Chigozie Obioma の "An Orchestra of Minorities"(2019)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 An Orchestra of Minorities: Shortlisted for the Booker Prize 2019 作者: Chigozie Obioma 出版社/メーカー: Little, Br…
ゆうべ、今年のブッカー賞最終候補作、Elif Shafak の "10 Minutes, 38 Seconds in This Strange World"(2019)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 10 Minutes 38 Seconds in this Strange World 作者: Elif Shafak 出版社/メーカー: Viking 発売日:…
ゆうべ今年のブッカー賞最終候補作、Bernardine Evaristo の "Girl, Woman, Other"(2019)を読了。現地ファンのあいだでは、ショートリストの発表時からずっと1番人気。ひょっとすると、このままゴールインするかもしれない勢いだ。さっそくレビューを書い…
今年のブッカー賞最終候補作、Margaret Atwood の "The Testamantes"(2019)を読了。ご存じ "The Handmaid's Tale"(1985 ☆☆☆☆)の続編である。さっそくレビューを書いておこう。 The Testaments: The Sequel to The Handmaid’s Tale 作者: Margaret Atwood…
先週末まで、Bernardine Evaristo の "Girl, Woman, Other" をボチボチ読んでいた。Margaret Atwood の "The Testaments" が届かないのでしびれを切らしたからだが、同書は日曜日にやっと到着。パラパラめくり、すぐに乗り換えた。 "Girl, Woman, Other" の…
きのう、今年のブッカー賞最終候補作、Salman Rushdie の "Quichotte"(2019)を読了。さっそくレビューを書いておこう。 Quichotte 作者: Salman Rushdie 出版社/メーカー: Jonathan Cape 発売日: 2019/08/29 メディア: ペーパーバック この商品を含むブロ…
前々回、こんどのフランス旅行で今年のハイライトはおしまい、と書いた。帰国して平凡な日々が再開してみると、いまは実際、「days after」という感が強い。去年の春のハワイ旅行では、そういうこともなかったのに。 ハイライトといえば、やむを得ぬ事情で復…
もっか、4月にテンプで復職して以来、いちばんの繁忙期。なので、今回はメモ書きふうに。 きょう久しぶりに過去記事をチェック。ちょうど1週間前にアップした『ひらいた窓』の拙訳をさらに修正。いちばんのポイントは姪のせりふ。少しは「それらしく」なっ…
きのうの夕方、サキの短編、実質的にはショートショート『ひらいた窓』の拙訳をアップ。それから十数ヵ所、少しずつ加筆修正している。初稿よりは、いくらかマシになったかもしれない。それでもまだ文字どおり拙訳ながら、スターを付けてくださった knana19…
世間は三連休だが、ぼくは例によって午前中は〈自宅残業〉。あしたもその日程です。そうしないと仕事が間に合わない。つくづく因果な商売だけど、それでもゆうべは、有楽町の超高級ホテルでもよおされた、勤務先に関係のあるパーティーに出席。無職なら口に…
あああ、6月も終わってしまいましたね。1年契約のテンプながら元の職場に復帰してもう3ヵ月。陳腐なせりふだが、あっと言うまに時が流れていった。 そのかん、読書量は激減。洋物はブログにアップしたとおりだけど、寝床読書にしても、1月から読みはじめ…
あれがこうなり、これがああなり、ここにこうしてぼくがいる。このところ、そんなことを痛感する毎日だ。先週など、満員電車の中でドア付近にしか立てず、降車駅の三つ前の駅でホームに押し出されてしまい、ああ、なんの因果か、これがああなり…と思ったもの…
きょうは日曜日。〈自宅残業〉を午前中で切り上げ、午後から Ali Smith の "Spring"(2019)に取り組んだ。最近カタツムリくんペースで読んでいたこの本、きょうしか片づけるチャンスはあるまい、と思った。そろそろまた超繁忙期がやって来るからだ。 おかげ…
ほんとうはスノープス三部作について補足する順番だが、先週からの流れで本書のことを書き足しておこう。 まずこれは10月のブッカー賞発表前、ひとつだけ読みのこしていた候補作。せっかく発表に間に合うように注文したのに、「発送したのですが途中で紛失し…
ゆうべ、今年のギラー賞受賞作、Esi Edugyan の "Washington Black"(2018)を読了。周知のとおり、本書は今年のブッカー賞最終候補作でもあり、また、ニューヨーク・タイムズ紙の年間ベスト5小説にも選ばれている。 ギラー賞はカナダで最も権威のある文学…