ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

全米批評家協会賞

Mohsin Hamid の “Exit West”(3)

本書はたしかに恋愛小説である。が、それより何より、街なかに突然出現したドアを通じて、アジアやアフリカなどから先進国へ瞬時に移動できる、という近未来のSF的な設定で移民問題を大々的に扱っている点がミソだろう。 ぼくは最初、移民と先住民の激しい対…

Mohsin Hamid の “Exit West”(2)

Mohsin Hamid の作品を読むのは本書で3冊目。初めて読んだのは、ご存じ2007年のブッカー賞最終候補作 "The Reluctant Fundamentalist"(☆☆☆★★)。当時のレビューを読みかえすと、わりとおもしろい、という程度だったようだ。 次に、ちょうど4年前の今ごろ…

Mohsin Hamid の “Exit West”(1)

ゆうべ、Moshin Hamid の最新作、"Exit West"(2017)を読了。眠かったのでレビューはきょうに回すことにした。はて、どんな駄文になりますやら。Exit West: SHORTLISTED for the Man Booker Prize 2017作者: Mohsin Hamid出版社/メーカー: Hamish Hamilton…

Lauren Groff の “Fates and Furies” (1)

本書は周知のとおり、昨年の全米図書賞と今年の全米批評家協会賞(対象はともに2015年の作品)の最終候補作である。さて、ひと晩寝かせたところでレビューを書けるかどうか。Fates and Furies作者: Lauren Groff出版社/メーカー: Riverhead Books発売日: 201…

Valeria Luiselli の “The Story of My Teeth” (1)

先日発表された2015年のロサンゼルス・タイムズ紙文学賞(Los Angeles Times Book Prize for Fiction)の受賞作、Valeria Luiselli の "The Story of My Teeth" を読了。これは今年(対象はLAタイムズ紙賞と同じく2015年)の全米批評家協会賞の最終候補作で…

Paul Beatty の “The Sellout” (1)

2015年の全米批評家協会賞 (National Book Critics Circle Award) 受賞作、Paul Beatty の "The Sellout" を読了。P Prize. Com の予想では、今年のピューリッツァー賞レースでも最有力候補だった。さっそくレビューを書いておこう。The Sellout: WINNER OF …

今年の全米批評家協会賞

かなり旧聞に属するが、去る13日、今年の全米批評家協会賞(対象は昨年の作品)が発表され、Chimamanda Ngozi Adichie の "Americanah" [☆☆☆☆] が栄冠に輝いた。 ぼくは去年の7月だったか、あちらの下馬評を参考に、同書がブッカー賞のロングリストにノミネ…

Chimamanda Ngozi Adichie の “Americanah” (1)

諸般の事情で予定よりずいぶん遅れてしまったが、Chimamanda Ngozi Adichie の新作 "Americanah" をなんとか読了。さっそくレビューを書いておこう。Americanah (ALA Notable Books for Adults)作者: Chimamanda Ngozi Adichie出版社/メーカー: Knopf発売日:…

2012年全米批評家協会賞発表 (2012 National Book Critics Circle Awards)

ニューヨーク時間で2月28日、全米批評家協会賞が発表され、フィクション部門では、Ben Fountain の "Billy Lynn's Long Halftime Walk" が栄冠に輝いた。ぼく自身は Adam Johnson の "The Orphan Master's Son" [☆☆☆☆] が本命と思っていたが、"Billly Lynn'…

Laurent Binet の “HHhH” (1)

Laurent Binet の "HHhH" を読了。今年の全米批評家協会賞の最終候補作で、2010年のゴンクール賞新人賞の受賞作でもある。さっそくレビューを書いておこう。HHhH作者:Binet, LaurentRandom House UK LtdAmazon[☆☆☆☆★] 従来のナチス物、ホロコースト物の定型…

Zadie Smith の “NW” (1)

Zadie Smith の最新作 "NW" を読了。2012年の全米批評家協会賞最終候補作で、ニューヨーク・タイムズ紙、ガーディアン紙、タイム誌などでも年間ベスト作品に選ばれている。さっそくレビューを書いておこう。NW作者: Zadie Smith出版社/メーカー: Hamish Hami…

“NW” 雑感 (1) / 2012年全米批評家協会賞最終候補作 (2012 National Book Critics Circle Awards Finalists)

ほんとうは、Ian McEwan の "Sweet Tooth" についてもっと書きたかったのだが、レビューを読みかえしてみるとネタバレ気味ですな。ヒロインは女スパイだが、ふつうのスパイ小説ではないし、彼女の単純な恋物語でもなく、「愛のスパイ小説、陰謀小説」としか…

全米批評家協会賞発表 (2011 National Book Critics Circle Award for Fiction)

ニューヨーク時間で8日夜、今年の全米批評家協会賞が発表され(対象は去年の作品)、小説部門では Edith Pearlman の短編集 "Binocular Vision" が栄冠に輝いた。ぼく自身は Jeffrey Eugenides の "The Marriage Plot" が大本命だと思っていたので意外な結…

Jeffrey Eugenides の “The Marriage Plot” (1)

今年の全米批評家協会賞候補作、Jeffrey Eugenides の "The Marriage Plot" を読了。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。The Marriage Plot: A Novelメディア: ペーパーバックThe Marriage Plot作者:Eugenides, Jeffrey発売日: 2011/10/04メディ…

2011年全米批評家協会賞最終候補作発表

うかつでした。ニューヨーク時間で去る21日、全米批評家協会賞の最終候補作が発表されていたんですな。読んだばかりで、もっか感想を書きつづけている Teju Cole の "Open City" が選ばれたのはタイムリーとして、廉価版待ちだった "The Marriage Plot" もノ…

Teju Cole の “Open City” (1)

Teju Cole の "Open City" をやっと読みおえた。昨年、タイム誌やエコノミスト誌、ニューヨーカー誌などが選んだ優秀作品のひとつである。いつものようにまずレビューを書いておこう。Open City作者: Teju Cole出版社/メーカー: Faber & Faber発売日: 2011/0…

Jennifer Egan の “A Visit from the Goon Squad”(1)

今年のピューリッツァー賞、ならびに全米批評家(書評家)協会賞の受賞作、Jennifer Egan の "A Visit from the Goon Squad" を読了。さっそくいつものようにレビューを書いておこう。(点数評価は後日)。A Visit from the Goon Squad作者: Jennifer Egan出版…

Hans Keilson の “Comedy in a Minor Key”(1)

このところパッとしない体調だったが、今年の全米批評家(書評家)協会賞の最終候補作、Hans Keilson の "Comedy in a Minor Key" を何とか読みおえた。さっそくレビューを書いておこう。Comedy in a Minor Key (Modern Voices)作者: Hans Keilson出版社/メ…

Jayne Anne Phillips の "Lark & Termite"(1)

多忙その他、諸般の事情で遅れに遅れていた Jayne Anne Phillips の "Lark & Termite" をやっと読みおえた。去年の全米図書賞ならびに全米批評家(書評家)協会賞の最終候補作である。この本については、すでに雑感で言い尽くしたような気もするが、とりあえ…

今年の全米批評家(書評家)協会賞

National Book Critics Circle Award(全米批評家協会賞)の発表があり、候補作は3冊しか読んでいなかったが(うち1冊はあと少し)、その中でイチオシだった去年のブッカー賞受賞作、Hilary Mantel の "Wolf Hall" が見事ダブル受賞に輝いた。 あとの候補…

Bonnie Jo Campbell の "American Salvage"(1)

昨年の全米図書賞最終候補作で、今度は全米批評家(書評家)協会賞にノミネートされている Bonnie Jo Campbell の "American Salvage" を読みおえた。いつものようにまずレビューを書いておこう。American Salvage作者: Bonnie Jo Campbell出版社/メーカー: …

最近の全米批評家協会賞受賞作「面白度」ランキング

あと1ヵ月足らずで発表される昨年の全米批評家(書評家)協会賞(National Book Critics Circle Awards)の候補作、Bonnie Jo Campbell の "American Salvage" に取りかかった。今日一日で片づけようと思っていたのに、寝坊してしまい、あえなく挫折。中間…

Hilary Mantel の “Wolf Hall”(1)

今年のブッカー賞受賞作、Hilary Mantel の "Wolf Hall" をやっと読みおえた。今まで3回の雑感に毛が生えたものになりそうだが、いつものようにレビューを書いておこう。Wolf Hall (The Wolf Hall Trilogy)作者:Mantel, Hilary発売日: 2009/04/30メディア: …

全米書評家(批評家)協会賞発表(2009 National Book Critics Circle Awards)

ニューヨークの現地時間で3月12日、今年の National Book Critics Circle Awards が発表され、フィクション部門で予想どおり、Roberto Bolano の "2666" が受賞した。2666作者: Roberto Bolano,Natasha Wimmer出版社/メーカー: Farrar Straus & Giroux発売…

Roberto Bolano の "2666"(1)

やっとのことでロベルト・ボラーニョの "2666"(2004)を読みおえた。2月18日から10回にわたって連載してきた雑感のまとめに過ぎないが、とりあえずレビューを書いておこう。 2666 (1,2,3)作者:Bolano, RobertoFarrar Straus & GirouxAmazon[☆☆☆☆★★] ひとつ…

今年の全米書評家(批評家)協会賞と、 Elizabeth Strout の “Abide with Me”

いささか旧聞に属するが、全米書評家協会賞(全米批評家協会賞)の候補作が発表されている。http://bookcritics.org/news/archive/2008_nbcc_finalists_announced/ ラインナップは次のとおり。 "2666" Roberto Bolano "Home" Marilynne Robinson "The Lazaru…

Marianne Wiggins の "The Shadow Catcher"

Marianne Wiggins の "The Shadow Catcher" を読了。なかなかの力作だが、今年の全米書評家協会賞(全米批評家協会賞)を逃した理由も何となく分かった。The Shadow Catcher: A Novel作者: Marianne Wiggins出版社/メーカー: Simon & Schuster発売日: 2008/0…

Tobias Wolff の "Old School"

多忙につき今日も昔のレビュー。Old School (Vintage Contemporaries)作者: Tobias Wolff出版社/メーカー: Vintage発売日: 2004/08/31メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (1件) を見る[☆☆☆☆] 短編の名手トバイアス・ウルフが初めてものした長編で…

Edward P. Jones の "The Known World"

前々回は "Gilead" の邦訳がまだ出ていない話をしたが、"Gilead" の前年(03年)に全米書評家協会賞(全米批評家協会賞)を取った "The Known World" もやはり未訳のようである。The Known World: A Novel作者: Edward P. Jones出版社/メーカー: Amistad発売…

Junot Diaz の "The Brief Wondrous Life of Oscar Wao"

全米書評家協会賞(全米批評家協会賞)の候補作、Junot Diaz の "The Brief Wondrous Life of Oscar Wao" は、"Time" や "Publishers Weekly" などでも年間優秀作品に選ばれている。The Brief Wondrous Life of Oscar Wao作者: Junot Díaz出版社/メーカー: R…