ビンゴー・キッドの洋書日記

英米を中心に現代から古典まで、海外の作品を英語で読み、論評をくわえるブログです

2017-01-01から1年間の記事一覧

"Chateau of Secrets" 雑感(2)

人生、山あり谷あり、道に起伏あり。日曜日の転倒事故以来、道路のちょっとした段差にも気をつけるようになった。ぼくももうすぐ前期高齢者。事故は、これから何かと用心しろ、という神様からのメッセージだったのかもしれない。 ともあれ、きょうは無理をせ…

"Chateau of Secrets" 雑感(1)

日曜日の転倒事故、「大事にはいたらなかった」ものの、小事にはなった。左の鎖骨と上腕骨のあいだの靱帯を軽度の損傷。それくらいで済んだのだから、不幸中の幸いとしか言いようがない。 が、三角巾で肩をつっているので何かと不便。こんな駄文を綴るのでさ…

Jenny Erpenbeck の “The End of Days”(2)

あ痛っ、たっ! きょうの午後、この一週間で最大の事件が起こった。散歩中、つま先を路面にひっかけて頭から一回転! みごとにすっ転んでしまった。 さいわい、両膝と左の肩先をすりむいただけで大事にはいたらなかったが、こんな路上での回転レシーブは生ま…

Jenny Erpenbeck の “The End of Days”(1)

きのう、Jenny Erpenbeck の "The End of Days"(2012)をやっと読了。ドイツ語からの英訳版で、2015年の Independent Foreign Fiction Prize の受賞作。2016年の国際IMPACダブリン文学賞の最終候補作でもある。The End of Days作者:Erpenbeck, JennyGranta …

"The End of Days" 雑感(4)

一週間のご無沙汰でした。ビンゴー・キッドです。 というセリフを聞いて、ああ、あのテレビ司会者のパクリだね、とひらめく人は、ぼくのようなジッチャン、バッチャン世代。ともあれ、いずこも同じ春の夕暮れ。年度初めとあって、のんびり趣味を楽しむ時間が…

2017年ピューリツァー賞発表(2017 Pulitzer Prize for Fiction)

あれま、Colson Whitehead の "The Underground Railroad" が、今年のピューリツァー賞を受賞してしまった。昨年の全米図書賞に続いて2冠達成。ぼく自身は、そんなにすごい傑作とは思わなかったけれど、文学にはいろんな見方や評価があっていい。ともかく、…

"The End of Days" 雑感(4)

前回引用したように、茂木健一郎氏は、映画「この世界の片隅に」について論じた文の中でまず、「人間らしくあるためには、体験を共有しなければならない」と書いている。この冒頭の一節からして、ぼくは疑問に思った。はて、「人間らしくある」とは一体どう…

"The End of Days" 雑感(3)

きょうはまず、映画「この世界の片隅に」の感想の続きから。これはタイトルどおり、「この世界の片隅」でひとり静かに鑑賞し、そっと涙するべき作品だと思う。 事実、ぼくも帰省の途中、松山の小さな映画館で観ているうちに何度か目頭が熱くなった。そんなと…

"The End of Days" 雑感(2)

先月末から愛媛の宇和島に帰省していた。あちらは例年にない寒さで、桜は一週間遅れ。けさもまだ満開にはほど遠かった。こんな異変はちょっと記憶にない。 帰る途中、松山で『この世界の片隅に』を観た。なんの予備知識もなく、ただの時間つぶしだったが、映…

"The End of Days" 雑感(1)

きょうはまず就眠儀式の話から。寝床の中で読む本は、適度におもしろいものがいい。おもしろすぎると夢中になり眠れなくなる。つまらないと消灯。が、すぐには眠れない。 その点、いま読んでいる『月光仮面』はちょうどいい。どれも子供だましのような話だが…

Ann Patchett の "The Magician's Assistant" (2)

本書を読みだしたとき、たまたまリメイク版「ゼロの焦点」を録画で見たのがきっかけで、同書も久しぶりに読みはじめた。すると、2作とも最初は夫婦間の溝がテーマ。さて、どちらがおもしろいか、お手並み拝見となった。 それから約2ヵ月。心に残っているの…

Ann Patchett の "The Magician's Assistant" (1)

この2ヵ月ほど体調不良をはじめ、〈厄月〉かと思えるほどトラブル続き。おかげで予定より大幅に遅れてしまったが、きのう何とか本書を読了した。1998年の旧オレンジ賞(現・女性小説賞)の最終候補作である。 レビューを書くのも久しぶり。どんな駄文になる…

"The Magician's Assistant" 雑感(9)

連日奮闘努力の甲斐あって、きょうの午前中でようやく仕事の遅れがほぼ回復。いやはや、キツかった。 昼から久しぶりに書斎で読書。これまたやっと "The Magician's Asssitant" を読みおえた。取りかかったのはいつだっけ? まさかこんなに時間がかかるとは…

"The Magician's Assistant" 雑感(8)

世間は三連休だったが、ぼくはきょうも昼過ぎまで〈自宅残業〉。職場の繁忙期は過ぎたものの、先週まで体調不良。自分の仕事が予定より大幅に遅れているからだ。 BGMはクレンペラー盤「魔笛」。ノリントン盤より素人耳には心地よい。次いで、中島みゆきの「…

"The Magician's Assistant" 雑感(7)

またまた小休止。すっかりサボり癖がついてしまった。 じつは先週ずっと高熱が続いていた。しかし、あいにく職場が繁忙期。休みたくても休めず、「宮仕えの男はつらいよ」。 今週前半も、ようやく熱は下がったものの、なんだかダンプカーにでもぶつかったよ…

"The Magician's Assistant" 雑感(6)

きのうは日曜日なのに〈自宅残業〉。疲れた。きょうも手短にすませよう。 まず前回の訂正から。ヒロインの Sabine がロスを離れ、Nebraska に住む義理の母たちと同居しそうだ、と報告したが、これはぼくの勘違い。ただの一時的な訪問だった。ロスの自宅を処…

"The Magician's Assistant" 雑感(5)

きょうは土曜日だが、夕方まで職場で残業していたので、軽くメモだけ。 いま同時に並行して4冊の本を読んでいる。といっても、そのうち1冊はコミックで、吉田秋生の『吉祥天女』。これがいちばんおもしろい。 2回目だが、内容はほとんど失念していたので…

"The Magician's Assistant" 雑感(4)

3月になった。〈厄月〉かと思えるほどトラブル続きだった2月がやっと終わり、気分一新、また頑張らなくちゃ。といっても、あんまり頑張るものもないのだけれど。 春がいちばん好き、という友人がいる。生命がまた復活する季節だから、というごく普通の理由…

"The Magician's Assistant" 雑感(3)

ずいぶん長いこと更新をサボってしまった。この2月は〈厄月〉だったかも。 風邪をこじらせたのがケチのつきはじめ。熱はそれほどなかったのだが、夜中に頭痛で目の覚めることがしばしば。活字を追いかけると目が泳ぐ始末だった。 こんなときは音楽を聴くし…

"The Magician's Assistant" 雑感(2)

ゆうべ一杯やりながら、久しぶりに『評決』を見ていたら驚いた。といっても、すっかり忘れていただけの話だが、なんとシャーロット・ランプリングが出ていたのですね。 『愛の嵐』や『さらば愛しき女よ』のころより少し老けてはいたが、すぐにわかった。すご…

"The Magician's Assistant" 雑感(1)

ああ、あ。また始まった。月曜日の、おそらくいちばん月並みな感想でしょうね。中には意欲満々で出勤する人もいるのだろうけど、ぼくはとうに還暦を過ぎたオジイチャン。早く楽隠居したいな、と思いながら電車に乗っている。 きょう、その行き帰りに読んでい…

Anita Brookner の“Look at Me”(3)

世間は連休だが、ぼくは仕事の遅れを取り戻すべく、きのうは終日、きょうも昼過ぎまで〈自宅残業〉。BGMはもちろん、中島みゆきのアルバム(21st〜30th)。仕事さえなければ気分はサイコーなんですけどね。 そういえば去年、森田童子の復刻版CDが出ていたと…

Anita Brookner の “Look at Me”(2)

ああ、しんどかった、というのが正直な感想だ。そろそろ物語が動きだしそうかな、と思ったら、またしてもコッテリした心理描写。さすがに胃にもたれることが多く、そのせいもあってしばらく遠ざかっていた。 現代英文学をリアルタイムでかじった目で見ると、…

Anita Brookner の “Look at Me”(1)

Anita Brookner の "Look at Me"(1983)をようやく読了。途中しばらくサボっていたので、新鮮な読後感というわけには行かないが、なんとかレビューらしきものを書いてみよう。Look at Me (Panther Books)作者:Brookner, AnitaTriad BooksAmazon[☆☆☆★★] 小さ…

"Look at Me" 雑感(5)

ずいぶん更新をサボってしまった。仕事が忙しかったせいもあるが、何より、いとこのノブオ兄ちゃんが急逝。もともとウツの気があるぼくは、さらに落ち込んでしまった。 小さいころ、セミ捕りなどをして、一緒に遊んでくれたときのことが、まるで昨日のことの…

"Look at Me" 雑感(4)

ゆうべ、寝床の中で『吉祥天女(1)』をやっと読みおえた。20年ぶりくらいの2回目だが、すごい妖気だ。『海街diary』と同じ作者とはとても思えない。絵柄もタッチも別人みたい。この妖気、innocence も experience もへったくれもない。だから、たぶん超人…

"Look at Me" 雑感(3)

去年の暮れあたりから、「innocence と experience の対立と融合」という問題に強い関心がある、と何度か書いてきた。文学上そんな問題が本当にあるのかどうか、文学史に詳しくないぼくはよくわからない。が、個人的には、そういう見方もありかな、という気…

"Look at Me" 雑感(2)

このところ、朝起きると喉が痛い、鼻水が出る。ヤバイ、ひょっとしてインフルかも。そのうち夢でも見ているように一日が終わり、よかった、ふつうの風邪だった、とひと安心。 というわけで、いま読んでいる本、どれもさっぱり進まない。寝床の中の『吉祥天女…

"Look at Me" 雑感(1)

つい先ほどまで一杯やっていた。だからきょうはお休みしたかったのだけれど、カウンターを見ると、こんな泡沫ブログでも、どなたか奇特な方が読んでくださっていることがわかる。だから何か書きます。 水曜日、獺祭の発泡にごり酒を飲みながら見ていた映画は…

Anita Brookner の "The Next Big Thing"

ゆうべブログを更新するはずだったが、晩酌に獺祭の発泡にごり酒を飲んであえなくダウン。見ていた映画の粗筋もろくに憶えていない。 苦手とわかっているのに日本酒をトライしたのは、たまたま見た紀行番組で、ぼくと同い年くらいのジッチャンたちが、金沢の…